真咲よう子

雨降る夜に　暖簾を出して
夜中に落とす　化粧の香り

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遠い記憶の　初恋は
告げられなかった　淡い思い出

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この恋を　捨てに来た
涙と一緒に　この川へ

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春を待たずに　冬の海峡
いのちを賭けて　渡って来たの

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ふたりで差した　恋傘(こいがさ)あずけ
ひとりで辿(たど)る　南湖(なんこ)のほとり

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あなたは何処に　いるのでしょうか
芯から尽くした　人でした

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きっと来てねと　泣いていた
かわいあの娘(こ)は　うぶなのか

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愛した人は　この世でひとり
そんな貴方は　もういない

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おちょこふたつに　注ぐ酒は
大波小波の　味がする

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苦労ばかりで　すまないと
痩せた指先　やさしく包む

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