島津亜矢

噛んだ 唇 したたり落ちる
血で書く名前は 藤十郎

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｢日本に古くから伝わる民話
美しくも哀しい鶴の物語です。｣

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かぜさそふ　はなよりもなほ　われはまた
ならぬ堪忍　耐えてこそ

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色づく紅葉(もみじ)の千代紙が　立派な表紙絵も
過ぎ去る月日のまにまに　褪せた日記帳

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人の子は　なぜ泣きながら
この地球(ほし)に　生まれてくるの

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命追われて 力も尽きて
闇路に光る ふたつ星

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彩(いろ)めく夏の　訪れを
教えてくれる　一夜花(いちやばな)

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戻れない… 戻らない…
時の流れに 棹させば

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親に貰った この血の中を
熱く流れる 命潮

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雨にあじさい　風にはすすき
俺にゃ似合いの　裏街道

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