川野夏美

雨はふるふる城ヶ島の磯に
利休鼠の雨がふる

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ふたりが出逢って　愛した街を
ひとりで歩けば　せつなくて

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人には何故　別れがあるの
深く深く　愛されていたのに

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道を他人に　譲るのも
そうさ男の　勇気だぜ

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勿忘草(わすれなぐさ)なら　野に咲くでしょう
私はあなたの　背なに咲くでしょう

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頬にこぼれる　洗い髪
花冷えにまだ　濡れている

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ふたり暮らした　町の名は
遠い別れと　書くのです

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故郷(こきょう)の夕陽が　見たくって
思わず上(のぼ)った　歩道橋

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